ニューヨーク州、富裕層増税で合意

ニューヨーク州のクオモ知事と州議会は今月6日に2,120億円の2022年の予算案に合意した。年収100万ドル以上の住民に対して増税を課すことが盛り込まれた。これにより

年収100万ドルを超える住民税率は13.5%14.8%程度となる。2021年現在で税率が最も高いのはカリフォルニア州の13.3%であり、この水準を上回り米最高水準となる。

ニューヨーク州にはウォール街に代表される世界有数都市であるため、そこで働くために世界屈指のバンカーやファンドマネージャーの多くがニューヨークの街に存在した。しかしながら、今回の税率の引き上げとこのコロナ禍において在宅勤務がある程度定着していることを考えるとわざわざ高い税率を払う必然性が薄れてきている。

JPモルガン・チェイスやシティグループなどは、富裕層がニューヨークの街から離れる件念を示している。新型コロナウイルスが爆発的に拡大したニューヨークは人の往来が減少したことにより街は大きな落ち込みを見せた。一方で街の税収はそういった街の様子に対して落ち込みを見せなかった。それは紛れもなくウォール街のおかげであった。米株価指数は過去最高値を更新し、証券業界は高い利益を上げていた。それによりニューヨークの税収(7-10)は予想を上回り、財政赤字の見通しを縮小させた。

水は高いところから低いところへ流れるが、人においても同じであろう。税金が高いところからは人が離れる。例えば昨今の仮想通貨ブームで大金を手にしている人は多く存在している。日本で仮想通貨に係る税金は最大55%課される。これを他国と比較するとこの水準が高いことが分かる。例えば香港やマレーシア等は非課税とされている。グローバル社会とコロナ禍による新たな生活様式で自分が居る場所の自由度は上がることになるだろう。そうなった場合、税率が高い場所はお金を持っている人にとっては魅力的な場所に映るだろうか。

<参考>

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN070BY0X00C21A4000000/

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-16/QLERCST0G1KW01