相続における「特別の寄与」

 

2019年夏、約40年ぶりに相続法が改正された相続法。

大きな変更点は、1つは以前のブログで触れた「配偶者居住権」。

配偶者が亡くなった際に残された者の居住権を守る権利である。

詳細は以下の記事を参照いただきたい。

https://1af.jp/2021/03/14/1-123/

 

2つめは「特別の寄与」である。

基本的には亡くなった者の相続財産はその者の法定相続人以外取得することができない。被相続人の生前、子はもとよりその配偶者が介護をすることは往々にしてある。生前お世話になっている者に対して相続財産を継承したいという想いがあったとしても、遺言を残していない限りは、その配偶者は財産を相続することは出来ない。また、逆もしかりで生前、義理の父(母)のお世話をしたのだから相続財産を受け取る権利があるなどという主張も多くある。そこで「特別の寄与」という形で他の相続人に対して金銭を要求する権利が認められた。

 

※特別の寄与

相続人に対して無償で療養看護その他労務の提供をしたことにより被相続人の財産維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(六親等以内の血族、配偶者、三親等以内の姻族) 民法1050条

 

 

一見、当然のように見える権利だが、これにより「争続」が無くなるかと言われるといわれると答えは「No」だろう。生前の寄与度をどのように金額に置き換えるのか。金銭を請求された他の相続人やその配偶者はどのように思うだろうか。私の方が生前面倒をみた、などという主張が出ないことを祈るばかりである。