シャンパン誕生

シャンパン

シャンパンと言えば結婚式や誕生日などお祝いの際に飲まれることが多い。また、アペリティフ(食前酒)として飲まれる方も多いだろう。

シャンパンを日常的に愛飲する有名人の名言はいくつかある。フランスの英雄ナポレオンは「シャンパーニュは、勝利の時には飲む価値があり、敗北の時には飲む必要がある。」との言葉を残している。彼はシャンパンを非常に愛飲しており、生産者を軍属として遠征先に赴き、戦地で飲むシャンパンを運搬させていたとの逸話も残っているほどだ。また、有名ブランド、シャネルの創業者であるココ・シャネルは次の言葉を残している。「私がシャンパンを飲むのは二つの時だけ。恋をしている時と、してない時。」と。「二つの時だけ」というが、結局いつも飲んでいたのではないかと言いたくなる。しかし、それほどまでシャンパンを愛していたということが伝わる言葉だ。

 

フランス、シャンパーニュ地方で作られる発泡性ワインのみをシャンパンと呼ぶ。有名な話だが、もともと泡の出るワインは好まれていなかった。生産者は二次発酵で生じる泡を止めようと苦戦していたが、修道士ドン・ペリニヨンによる逆転の発想により発泡性ワイン、シャンパンが誕生した。

 

シャンパンの製造には手間がかかる。しかしとてもユニークだ。一次発酵までの工程は白ワインと同じだが、シャンパンは一次発酵が終わったまだ発砲していない白ワインを瓶内で二次発酵させる。気泡を発生させるため、ワインを瓶に詰める際イーストと糖を加えコルクで栓をする。瓶詰めされたワインは石灰岩で作られた低温の地下貯蔵庫で横向きに寝かせる。酵母は糖を食べ炭酸ガスを発生するが、やがて酵母が死に澱となり瓶の底に貯まる。澱を取り出すため、ピュピトルという台を使って瓶の口を下げ貯蔵する。

最初の角度は20度、毎日ゆっくりワインボトルを回転し、2週間後には30度、40度、50度、60度と、徐々に角度を上げていく。これを繰り返すことにより澱はボトルの口にたまる。このボトルの口にたまった澱を取り出す方法がとてもユニークで、瓶の口を凍らせ開栓すると、ガスの圧力で澱だけがポンと飛び出す。まるで乾杯酒を開けるコルク栓のようである。

その後打栓をするが、澱を取り出した分減ってしまったシャンパンを補うために砂糖やワインを加える。ブリュット、セック、ドゥミセックなど甘さに応じて砂糖の量を調整する。

 

シャンパンの熟成期間は2年から10年だ。熟成期間が長くなるほど気泡が細かくまろやかになり、炭酸が長持ちする。価格も高騰するが、成功を祝うためには美味しいシャンパンを開ける価値があり、失敗を挽回するには美味しいシャンパンが必要である。