ボルドー5大シャトーとは
「5大シャトー」という言葉を聞いたことはあるだろうか。
フランス・ボルドー地方の中で最高ランクのワインをこのように表現している。
ボルドー地方と言えばフランスのみならず世界的に見ても高級ワインの生産地としても有名な地域である。
今回は世界最高の生産地の一つであるボルドー地方の中で更に最高とされている「5大シャトー」について紹介する。
ボルドー地方の最高地区
世界最高峰のボルドー地方の中に高級ワイン生産地として有名な「メドック地区」がある。
19世紀中頃にボルドーワインを世界的なワインとして知らしめたのが「メドック格付け」だ。この格付けはメドック地区にいるシャトー(生産者)を1~5級の5等級に格付けした。そしてこの格付けにおいて最上位である1級を獲得しているのが「5大シャトー」である。
ボルドー5大シャトー
1.シャトー・ラフィット・ロスチャイルド
1670年代には既にブドウ栽培とワイン醸造が行われており、最も歴史あるシャトーのひとつとされている。
ルイ15世から寵愛を受けていたボンパドゥール夫人がヴェルサイユ宮殿で開催していた晩餐会で愛飲していた。当時ブルゴーニュのワインを宮廷で禁止していた背景から王室内にメドックワインの素晴らしさを広め、人気が高まることになる。
2.シャトー・マルゴー
マルゴーはその味わいから最も女性的と評されている。
シャトー・ラフィット・ロスチャイルドと同様に多くの歴史的偉人に愛さるシャトーであり、ヴェルサイユ宮殿内の人気が高かった。宮殿内はラフィット派とマルゴー派に分かれ、ポンパドゥール夫人はラフィットを愛飲していたのに対して後にルイ15世から寵愛を受けるデュバリー夫人はマルゴーを愛飲していた。
また、古くは12世紀頃に当時のイングランド王に愛されていたことから品質を上げたとされている。
3.シャトー・ラトゥール
1993年にグッチなどのオーナーとして知られているフランソワ・ピノー氏が所有したことで豊富な資金力と最新の技術・設備を揃えることで味のバラツキを抑えることを実現する。
これらの徹底管理の元作られるワインは5大シャトーの中で最も力強く男性的と評されるワインとして人気を博すことになる。タンニンが豊富なことから味わい深くなるには一定の熟成期間を要する。
4.シャトー・オー・ブリオン
メドック地方ではないシャトーだがナポレオン戦争でフランスが敗戦した際のウィーン会議にて振舞った等歴史的な背景もあり、格付けを受けることになる。
シャトー内で1423年にはブドウの栽培が行われていたとされる記録を発見したことから最も歴史のあるシャトーとされている。
5.シャトー・ムートン・ロスチャイルド
19世紀中頃に行われた格付けにおいて品質や規模は1級相当とされていたが、所有者がイギリス人という理由から実際には2級に格付けをされることになる。
しかしながら2級という格付けに甘んじることない当時のオーナーはブドウの栽培や醸造方法を徹底的に管理し、更には積極的な営業活動が実を結び1973年に1級昇格を果たすことになる。
<参考>
渡辺順子 『世界のビジネスエリートが身につける教養としてのワイン』 2018年 ダイヤモンド社