未成年者の相続税額控除
民法改正に伴い、未成年者となる年齢が18歳未満に変更された。
これにより税制上でも、この年齢の変更が様々な制度で行われる。その1つが相続税の未成年者控除である。控除を受けられる年齢条件が20歳から18歳に引き下げられた。
以下が相続税の未成年者控除の要件とその額の計算方法である。
要件
以下の①から③全てに該当する場合に相続税の未成年者控除が受けられる。
①相続や遺贈で財産を取得する際に日本国内に住所がある(一時居住者、かつ被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除く)、または日本国内に住所がない場合は以下のいずれかに当てはまる
(1)日本国籍保有者であり、かつ相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある
(2)日本国籍保有者であり、かつ相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない
(被相続人が、外国被相続人または非居住被相続人の場合を除く)
(3)被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除いて
日本国籍を有していない人
②相続や遺贈で財産を取得する際の年齢が18歳未満である
(今般の民法改正により令和4年4月1日以後の相続ついて20歳から18歳に変更)
③財産を取得するものが法定相続人である
未成年者控除の額の計算
当該未成年者が18歳になるまでの年数1年当たり10万円が控除される。
(年数が1年未満の場合には切り上げで1年と計算する)
例えば、相続人が16歳と3か月の場合、
18歳になるまでは「1年と9か月」となる。
この場合9か月の部分を切り上げて1年とするため控除額を計算する上での期間は「2年」となる。なので「2年」×「10万円」で「20万円」が未成年者控除が適用される額となる。
ちなみに、当人において相続税額が控除額を下回り、全額控除できない場合においては、
未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くことも可能となる。扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹の他、3親等以内の親族が該当となる。
その他に受贈者の年齢要件が引き下げられるもの
〇相続時精算課税制度
60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫に財産を贈与する場合に選択できる贈与税制度
〇直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
父母や祖父母等が18歳以上の子や孫に財産を贈与する際に特例の税率により贈与税が算出される制度
〇非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度
60歳以上のものから18歳以上のものへ株式の承継が行われる際に所定の要件を満たす場合に納税が猶予される制度