少額償却資産の税制改正

 

<概要>

 

少額の減価償却資産を損金に算入できる制度は全部で3つある。

 

①少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度

 

取得価額が「10万円未満」の場合は「全額損金算入」することができる。

因みに年間の限度額は存在していない。

 

②一括償却資産の損金算入制度

 

取得価額が「20万円未満」の場合は「3年間で均等償却(残存価額なし)」となる。

年間の限度額は存在しない。

 

③中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入(特例措置)

 

取得価額が「30万円未満」の場合、年間300万円を限度として「全額損金算入」とすることができる。

なお、この制度は一定条件をクリアする中小企業者のみ適用となる。

 

 

<令和4年度税制改正>

 

令和4年度の税制改正にて、主に2つの点が制度上変更されることになった。

 

(1)貸付用資産の適用除外

 

近年、資産を貸し付ける際の損金算入と、後に発生する賃料収入等を利用した節税スキームの件数が増加傾向にあった。この仕組みを塞ぐためにこの制度を利用できる対象資産から「貸付の用に供したもの」は除外されることになった。因みに、主要事業として貸付を行っている際はこの限りでない、とされている。なおこの改正は上記①から③の全てに適用とされる。

 

 

(2)特例期間の延長

上述③の『中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入』は特例措置として、令和4年3月31日までの適用とされていたが、今回の改正で令和6年3月31日までに取得した分まで延長されることになった。

中小企業において、償却資産の管理や納税等の事務負担が大きくなっていることを鑑み、

「償却資産の管理や納税申告手続き等の事務負担の軽減」や、「電子機器等の少額資産の取得を促すことで事務効率の向上」を目的とし、今回の改正が行われることとなった。