マイルは相続できるのか

 

日常生活、もしくは趣味などで「ポイント」を利用している人は少なくないだろう。使うのが目的の人もいれば、貯めること自体に喜びを感じる人も一定数いるだろう。このポイントという制度の多くは有効期限が存在する。「〇〇年〇〇月に〇〇ポイント消滅します。」このような文言に焦りを覚えることもあるだろうか。またこのようなケースはどうだろうか。生前多数の種類のポイントをたくさん貯めていた被相続人がいたとする。このポイントはどうなるのだろうか。変な言葉遣いで恐縮だが、使わなくては勿体ない。しかしこのようなポイントは所謂「相続財産」に含まれるのだろうか。これに関する回答は「それぞれの規約による」が正解だろうか。規約によって様々であり「会員の死亡時に解約となる」旨が規定されているものもあればそうでないものもある。その代表例として挙げられるのが「マイル」である。代表的なJAL、ANAの2社のマイレージ規定にはそれぞれ以下の記載がある。

 

〇JAL(JMB一般規約14条 引用)

「(前略)また、会員が死亡した際、法定相続人は所定の手続きにより会員のマイル口座に残るマイルを相続することが可能です。」

 

〇ANA(マイレージクラブ会員規約21条 引用)

「会員が死亡した場合、法定相続人は、会員が積算していたマイルを、所定の手続きが完了した時点で有効な範囲で承継することができます。その際、当該法定相続人は弊社に対し、故人である会員のマイル相続権を有することを証明する書類を、会員の死亡日から180日以内に提示する必要があります。相続の申し出が前記の期間内にされない場合は、当該会員の積算マイルはすべて取り消されます。」

 

 

このように条件はそれぞれあるが必要な書類を準備し、必要な期間内に必要な手続きをとることでマイルの相続が可能となる。アメリカン航空やユナイテッド航空はある一定の条件をクリアするものを除いては譲渡不可とされている。シンガポール航空や大韓航空は死亡とともに消滅するとある。

世界的基準で見ると珍しい方に分類される日本のマイルの相続だが、ここでもう1つの疑問が浮かび上がる。相続したマイルは相続税の対象になるのだろうか。国税庁ホームページに相続税がかかる財産として以下の記載がある。

 

「相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。」

(国税庁 相続税がかかる財産 引用)

 

これにマイルが該当するのかというのが問題点である。現状マイルに関する相続税の評価については決まりがないが、今後これにより高額なマイルの相続が多数発生するような場合うは決まりが出来てくるかもしれない。注意する必要がある。