ゴルフ会員権を相続する

 

 

ゴルフ会員権という言葉にどれほど馴染みがあるかは分からない。ゴルフ会員権とはその名の通り「ゴルフの会員権」であり、そのゴルフ場の会員権を保有していると優先的に、割安でその施設を利用することができる。ゴルフの発祥地であるスコットランドから1901年に英国人により日本にもたらされたこのスポーツは国内において100年以上の歴史を持っている。以降、日本国内に多くのゴルフ場が設立され、戦前は会員制のゴルフ倶楽部を非営利事業と見なしていた。しかし、その後会員制ゴルフ倶楽部として非営利事業の認可が下りなくなったことを受け、株式会社を設立してその株式を保有してもらうことでその施設の会員として認められる形態をとり始めることになる。この仕組みは現在あるゴルフ会員権の種類の1つである「株主会員制」である。その他には一定金額をゴルフ場運営会社に預け入れを行う「預託金制」、古くから存在するゴルフ場が該当する上述の「社団法人制」等が存在する。

このようなゴルフ会員権の仕組みだが、保有する年齢の平均は70歳を超えるとも言われている。この権利を相続する場合にどのような評価となるのだろうか。    まず相続財産の対象になるかであるが、会則等によって死亡が会員資格事由となる取り決めがされている場合は相続財産となり得ない。また、株式の保有や預託金等がなく、ゴルフ場施設を利用できるのみの権利についても相続財産とならない。これら以外については原則的に以下の方法での相続税評価が行われる(国税庁ホームページ参照)。

まず取引相場があるゴルフ会員権においては課税時期の取引価格の70%に相当する価額にて評価を行う。一方、預託金があるケースにおいては、基本的には取引価格には含まれない為、取引価格の70%での評価に加え預託金の額が評価額となる(一定期間後に預託金が返還される場合は現在価値に割り戻す)。

続いて取引相場のないゴルフ会員間について、株主が会員となるケースは株式での相続税評価となる。またそこに預託金が含まれている場合は先述の通り預託金の額が加算される仕組みになる。なお、実際の相続手続きは該当のゴルフ場で名義書換を行うことで完了となるが、その場合に名義書換料と別途年会費や追加の預託金がかかる場合がある。施設によって書換の際に審査の有無や条件の違いがあることは注意したい。ゴルフ会員権証、遺産分割協議書(もしくは遺言書)、戸籍謄本(除籍謄本)、印鑑証明書を持って手続き行う。売却の際も同様の手続きとなる。