古代オリンピックの起源

昨年、57年ぶりに開催された夏季東京オリンピック(1年延期)やその半年後に開催された冬期北京オリンピックは「平和の祭典」と言われている。昨年、我々が東京で目にしたものはいわゆる「近代オリンピック」と言われ、その始まりは1896年だが、その前身とされる「古代オリンピック」は紀元前9世紀頃に古代ギリシアで始まったとされている。

【古代オリンピックの始まり】

そもそもこのオリンピックが開催の背景には「戦争」があった。多くの都市国家が乱立していたこの時代には国家間での戦争が絶えず発生していた。そのような状況下で休戦を目的にこのオリンピックが始まったとされている。神々を崇えるこの競技祭では、戦士は選手として参加し聖域でその競技が行われる。

【古代オリンピックの種目】

古代オリンピック最初の競技は「競歩」であった。競う事、そして人間の根源的な活動であることとして現代でも行われている「歩くこと」が長いオリンピックの歴史のスタートとなる。その後は今で言う「陸上競技」が競技としてその種目を増やしていく他、レスリングやボクシング等も競技として追加されていく。更には、運動種目だけでなく、絵画や文学、音楽等と言った「芸術種目」もかつては存在していた。

【古代オリンピックの優勝者】

近代オリンピックの各種目の優勝者が貰えるものと言えば「金メダル」であることはご存じだろうとは思うが、古代オリンピックでは「赤いリボン」と「オリーブで作られた冠」が貰えていた。授与物以外では、種目に優勝したことで、故郷へ帰還した際には地元の英雄として扱いを受ける点は近代オリンピックと似たような側面も持っていたと言えるでしょう。

【古代オリンピックの終焉】

古代オリンピックの起源となったギリシアはローマ帝国に支配されることになる。そして時のローマ皇帝がキリスト教をローマ帝国の国教と定めたことで、異教の神を崇める古代オリンピックを禁止し、西暦394年にその歴史に幕を閉じることになる。約12世紀に及んで開催され続けた古代オリンピックは合計293回開催されていた。因みに近代オリンピックは夏季32回(2021東京オリンピックまで)、冬期24回(2022北京オリンピックまで)開催されている。

<参考>

木村泰司『世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史』 2017年 ダイヤモンド社