アート投資の小口化

 

投資はまとまった資金がある人しかできないといったイメージは今や昔。政府が「貯蓄から投資へ」を掲げたことにより、NISAや投資信託等資産運用にまつわるワードをよく耳にするようになり、少額からでも投資を始める人が増えてきた。また、まとまった資金を持って始められるものというイメージで不動産を思い浮かべる人も多いだろうか。不動産も小口化により100万円程度から投資をすることが可能になっている。

この投資の小口化が加速している。中でも注目したい投資対象が「アート」である。人気や資産性が高いアートはかなり高価な値段が付けられる為、一個人で購入することはなかなか出来ない。中には飛びぬけた額で市場に出回るようなものや、そこまでいかないまでも購入額以外にもアートの実物を管理する為の費用や労力等、投資対象としてのアートはなかなかにハードルが高い。しかし、このようなアートも小口で投資ができるようになっている。株式会社ANDARTがリリースする「ANDART」では、1口1万円から投資が可能である。

 

そもそもアートは投資なのか、と考えるかもしれないが世界の富裕層は資産保全の為に株式や現金、不動産等と一緒にアートを保有する(平均5%程度)。金融資産との相関性が低いとされることからリスク分散の効果が大きいとされている。

 

 

<アート投資の現在地点と今後>

 

世界の美術品市場規模は約8兆円とされている。それに対して日本の美術品市場規模は2186億円で世界市場の約3%程度ほどでしかない。

美術品市場は急速な変化を迎えている。

市場の中でもNFTにより裏付けされたデジタルアート作品の取引が急拡大している。2020年から比較して、約372倍もの成長率を誇っており、市場全体の約17%を占めるまでに成長している。また今後も伸びていくことは想像に難しくないだろう。日本の市場は先述の通り世界的に見てまだまだ小さい。見方を変えるならば成長の余地が大きく残されている。日本の美術品市場の60%は画廊やギャラリー等リアルでの販売である。やはり画廊やアートギャラリーに足を運ぶのは初心者の人にとってはハードルが高いだろう。文化庁は世界第3位の経済規模でありながら、アート市場規模が小さいことから「文化芸術国の実現に向けて」という報告書を作成し、アートの国際的な拠点化を進める方針である。つまり、NISAやiDeCo等に加えて「アート投資」も国は推し進めているのである。

金融教育が普及し始めた中で、アート投資に対する感度の高い人が増えてきた結果、世間一般にも普及する未来を迎えるかもしれない。