アルゼンチンワイン
アルゼンチンワインが他国に追いつくまでには多くの時間を費やしていた。国内市場に限っては大きな規模を誇っていたが、現代ワインの水準と比較すると決して高いものとは言えなかった歴史画ある。しかしながら恵まれた気候や豊かな土壌を活かした結果マルベックなどといった代表的なワインが1990年代以降に登場する。
アンデス気候
アルゼンチンには標高の高い山が多く存在する。そうした標高の高い葡萄畑で育つ葡萄がアルゼンチンワインの特徴の1つである。標高の高い場所は夜間の気温が常に低く、豊かな風味の赤ワイン、より冷涼な場所では香り高い白ワイン用葡萄が生まれる。
このような山に囲まれた場所は非常に乾燥しているため菌などの繁殖しにくさから病害の心配がほとんどない。更には水に関してもアンデス山麓の雪解け水が十分なことから他エリアと比較しても収穫量は抜群に多くなる。こうした恵まれた地形を活かして近年ではワインの生産量ランキングにおいて欧州諸国やアメリカなどに次いで上位にランクインしている。
代表品種
アルゼンチンワインで最も有名な品種の1つは赤ワイン用葡萄で栽培面積1位のマルベックであろう。カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワール等のフランス系の品種と同様に1853年に導入され、現在は果実付きのよい株を厳選したものが残されている。酸味と凝縮感が特徴でありカベルネ・ソーヴィニヨン等と比較すると標高が高い地域での栽培が理想とされている。
地域
①北西部
サルタ州、フフイ州、カタマルカ州などといった南緯24~26度の位置するアルゼンチン北西部は多くの葡萄畑が標高1500m以上の位置に存在している。サルタ州にあるカルチャキ・ヴァレーはアルゼンチン独特の白ワイン用葡萄トロンテスの栽培と醸造で世界の中心地として有名である。
②メンドーサ州
アルゼンチンワインを牽引するエリアと言えばメンドーサ州と言っても過言ではないだろう。メンドーサ中部は良質なワイン造りにおいて最も長い歴史を持っており、多くの生産者がこのエリアを拠点としている。中でも有名なのはウコ・ヴァレーである。ここには約28,000haもの畑があり、その多く(22,000haほど)は1990年以降に植樹されている。これらの大多数は標高900~2,000mに位置しており、大半が石灰岩質の土壌である。北部のトゥブンガトでは上質なシャルドネの大部分が栽培されている。
③パタゴニア
ネウケン州やリオ・ネグロ州に位置するこのエリアは凝縮感や噛みごたえなど他にはない独特の性格を持つとされている。南極に近づくため気温が低く、雨が少ないのがこのエリアの特徴。更には風が強く吹くことも相まって病害の被害が少ない。このような厳しい環境で育った結果、立体感のあるワインが出来上がる。
<参照>
Hugh Johson,Jancis Robinson 著 『THE WORLD ATLAS OF WINE 8th Edition』株式会社ガイアブックス 2021年