租税回避とCRS

 

CRS制度とは「Common Reporting Standard」の略称で日本語では「共通報告基準」と訳される。これは、外国の金融機関等を利用して国際的な租税回避を防ぐために設けられたシステムである。この基準に基づき、各国の税務当局は、自国の金融機関等に保有する非居住者の口座情報を相互に提供することが可能となった。要するに、日本国外に資産を保有しておれば、日本の国税庁の調査の範囲外などといったことはないということ。毎年4月30日までに非居住者の金融口座情報が所轄の税務署長に報告、租税条約等の規定に基づき各国税務当局と自動的に情報が交換され、その情報を基に税務調査が入る。現に日本において、86か国、約200万件の日本人の口座情報が国税庁に提供されている。これにより149件の相続税の申告漏れが明らかとなった。前述の通り、以前は通用していたかもしれない海外に資産を持っていくという形が塞がれたことになる。このようなスキームを謳い文句に活動していたコンサルタントはこれからどうしていくのだろうか。また、そのような方に相談することは自身の資産を守るという点で非常にリスクとなるだろう。

しかし、当然ながらこのCRS制度は全世界の国・地域が対象というわけではない。あくまでもこの枠組みに賛同している国と地域内で情報交換が行われているものである。最後にどのような国が加盟国となっているのか、代表的な国・地域を挙げる。意外なことにあの国は加盟していない。

 

〇主なCRS加盟国

・イタリア

・イギリス

・オーストラリア

・シンガポール

・香港

・ニュージーランド

・インドネシア

 

 

その他、加盟国一覧は以下参照

 

『国税庁 「報告対象国」一覧表』

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/pdf/crs_country.pdf