親の再婚と相続
再婚する人の割合は僅かながら上昇傾向にある。初婚同士以外のカップルが結婚する割合は25%を超えているというデータがある。
相続を考える際に「再婚」はどのような影響を及ぼすのか。3つのケースで考えてみる。
<条件>
親、子2人
① 親の再婚による相続割合の変化
まず、親が再婚しない場合には親の死亡により相続が発生すると、基本的に相続財産は全て子どもが受け取ることになる。
<相続割合>
(法定相続割合で相続することを仮定)
・第1子 - 1/2
・第2子 - 1/2
しかし、親が再婚後に相続が発生すると相続割合は以下のように変わることになる。
<相続割合>
(法定相続割合で相続することを仮定)
・再婚相手 - 1/2
・第1子 - 1/4
・第2子 - 1/4
② 親の再婚相手に連れ後がいる場合
基本的に親の再婚相手の連れ後には相続権は発生しない。そのため、相続割合は親の再婚相手に連れ後が居る場合と居ない場合で変わることはない。しかし連れ後を養子縁組し親子関係を成立させた場合には相続権が発生するため、相続割合が変わることになる。
(法定相続人として数える養子の数には制限あり)
<相続割合>(再婚相手の連れ後1人を養子縁組とした場合)
(法定相続割合で相続することを仮定)
・再婚相手 - 1/2
・第1子 - 1/6
・第2子 - 1/6
・再婚相手の連れ後 - 1/6
③ 再婚相手に相続が発生した場合
親の死後、再婚相手に相続が発生した場合、基本的に親の子には相続権は発生しない。
よって再婚相手の子や直系尊属、兄弟が再婚相手の財産を相続することになる。
<相続割合>(再婚相手に子のみがいる場合)
・第1子 - 相続権なし
・第2子 - 相続権なし
・再婚相手の子 - 100%
このように、再婚によって相続は複雑さが増すことになる。
更に、1次相続の際には相続割合が減少してしまうことや2次相続の際には相続財産が全く受け取れない可能性も出てくる。
例えば住んでいた家を1次相続時に再婚相手が相続した場合、2次相続時には再婚相手の親族に渡ることもある。再婚相手に親や子がいない場合、住み慣れた家が再婚相手の兄弟が相続するケースも考えられる。
「人生の多様化」という言葉をよく耳にするが、これにより良くなる点が多いことも重々承知しているが、制度面が追いついておらず、それ故思わぬ災難が待ち受けていることも考えなくてはならない。