自宅売却時の税金

ここ2,3年で急激に我々の生活スタイルに変が起きたことを皆様感じていることと思う。しかしながら、時代が変化すると共に価値観や考え方は必然的に変化していく。

若者の〇〇離れという言葉がある。テレビ離れや自動車離れ等様々なものから若者が離れて行っているという。では、「家」についてはどうだろうか。最近の若者は「持ち家」の保有から離れているだろうか。総務省が発表する2018年住宅・土地統計調査によると、2018年の住宅総数に対する持ち家の割合は61.2%であり、2000年代においてはほぼ横ばいで推移している。

そこまで持ち家離れが進んでいるようには見えないが、既に持ち家を保有しているが何らかの理由で売却しなければならない事情を抱える人もいるだろう。

自宅を売却する際に、出た利益に対しては「譲渡所得」が発生し、所得税がかかる。

譲渡所得は、

「譲渡価格(売却価格)」 - *「取得費(購入額)」 - 「譲渡費用」

によって算出される。

*土地は購入価格、建物は購入額から減価償却費を控除

上記により算出された「譲渡所得」額に税率を掛け税金を求める。

短期譲渡所得(所有期間5年以下) ⇒ 所得税:30% 住民税:9%

長期譲渡所得(所有期間5年超)  ⇒ 所得税:15% 住民税:5%

(2037年までは所得税に復興特別所得税2.1%が上乗せ)

しかし、以下に紹介する特例を利用することで税負担を軽減することができる。

① 3,000万円の特別控除

この特例を利用することで、譲渡所得が「3,000万円」までの場合は所得税・住民税が非課税となる。

② 所有期間10年超の軽減税率

所有期間が10年を超える住宅を売却する場合には、以下の税率で所得税の計算が行われる。

6,000万円(課税譲渡所得)以下の部分 : 所得税:10% 住民税:4%

6,000万円(課税譲渡所得)超の部分  : 所得税:15% 住民税:5%

なお、この特例は①の3,000万円の特別控除との併用は可能とされている。

③ 住居用財産の買い替え特例

現在の自宅を売却し、その資金で新しく自宅を購入する場合、売却価格が新しく購入した住宅価格を下回っていた際は売却にかかる譲渡所得は繰り延べされる。

なお、非課税になるわけではなく、あくまでも「繰り延べ」であり将来的に課税される点は注意が必要である。

④ 譲渡損失の繰越控除

自宅を売却して赤字となった際は「譲渡損失の損益通算」が可能となる。他の所得と3年間の間、売却で生じた損失を相殺することで税金負担を軽減することができる。