確定拠出年金の相続

 

確定拠出年金を利用する人が増えている。

老後の資金を自らが準備しなければならない時代において、納税負担を軽減できるこの制度を利用しない手はないと考える人も少なくはないだろう。

デメリットを挙げるとするならば60歳まで基本的に資金を引き出せない点だろう。加入者が60歳を迎えれば運用資金を受け取ることができるが、もし仮に60歳になる前に加入者がなくなった場合は運用資金はどうなるだろうか。

 

確定拠出年金に相続が発生した場合

 

確定拠出年金の加入者に相続が発生した場合には、それが60歳を迎える前であったとしても加入者の遺族に対して「死亡一時金」が支払われる。これは個人型、企業型いずれの場合も共通である。

 

受取人は誰になるか

<受取人をしている場合>

まず、生前に死亡一時金の受取人の指定がなされていた場合にはその者が死亡一時金を受け取ることができる。この際、受取人として指定できるのは配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹のいずれかである。

 

<受取人を指定していない場合>

受取人を指定していない場合には、以下の順位により死亡一時金を受け取ることができる。

1.配偶者

2.亡くなった加入者の収入により生計を維持されていた者(子⇒父母⇒孫⇒祖父母⇒兄弟姉妹の順)

3.亡くなった加入者の収入により生計を維持されていない者(子⇒父母⇒孫⇒祖父母⇒兄弟姉妹の順)

 

受け取り時の税金について

 

死亡一時金を受け取る際には以下のいずれの期間によって課税方法が異なる。

 

① 死亡から3年以内

 

死亡から3年以内に死亡一時金を受け取る際には、「みなし相続財産」として相続税の対象となる。

「500万円 × 法定相続人」の非課税枠があり、この額を超える死亡一時金を受け取る場合には相続税が課税されることになる。

 

② 死亡から3年以上経過

 

死亡から3年以上経過して死亡一時金を受け取る場合には、「一時所得」として税金が計算されることになる。

一時所得は

「受け取り金額」 - 「支出額」 - 「50万円(特別控除)」

により計算がされ、「500万円 × 法定相続人」の非課税枠が使えない点は注意が必要である。

 

③ 死亡から5年以上経過

 

死亡から5年以上経過して受け取りを考えている場合には「相続財産」として遺産分割の協議が必要になるので注意が必要である。相続財産となると、先述の受取人の指定は意味をなさなくなってしまうため、基本的には5年以内の受け取りをおススメする。

 

手続き方法について

 

死亡一時金の受け取りには一定の手続きが必要となる。

 

① 運営管理機関に死亡の旨の連絡をいれる

② 死亡一時金の「裁定請求書」を記入する

③ 提出後概ね1~2か月後に指定口座に入金

 

 

 

まとめ

 

老後の資金について若い内から考え、準備をしている人が非常に増えてきている。若い内から老後の心配をすることの良し悪しは置いておいて、今の時代においては重要なことである。

老後のことにプラスして、万が一の事があった際の準備までを考えてられていれば完璧だろう。

老後は迎えるタイミングは分かるが、万が一の事は予測のしようがない点、その準備をすることも非常に重要だろう。

考える上で分からないことはぜひ専門家にご相談いただきたい。