暗号資産、税制改正へ要望書提出
日本暗号資産取引業協会と日本暗号資産ビジネス協会が2023年度税制改正を求める要望書を金融庁に提出した。日本が世界に後れをとらない為に、そして海外競争力を高める為には税制改正が必要不可欠だと考えられている。
主な改正の要望は以下の通りである。
① 分離課税
暗号資産取引にかかる課税方法が現在、総合課税で最大税率が55%である。
これを20%の申告分離課税とし、更に損失について翌年3年間暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする。なお、暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。
これは、アメリカやイギリス等の海外主要国が分離課税の税率20%であることから、世界水準と同等とし、ブロックチェーン技術等の技術競争力向上を目指すためである。
② 法人税
現状、保有目的にかかわらず全ての暗号資産に対して期末時価評価課税が行われる。
これを短期的な価格の変動又は市場間の価格差を利用して利益を得る目的で保有する暗号資産に限定することとする。
これによりトークンの自社発行等Web3.0関連企業の促進を目指し、技術者や投資家の海外流出を防ぐ。
③ 資産税
(1) 相続により取得した暗号資産の譲渡時の計算方法について、取得費加算の特例の対象とする。
(2) 相続財産評価について、上場有価証券同様、相続日の最終価格の他、相続日の属する月の過去3か月の平均時価の内最も低い時価とする。
冒頭でも述べた通り、現在は暗号資産を保有することによっての税負担がかなり大きくなっている。これにより暗号資産への投資家や技術者がより制度面で優れる他国への流出が起きてしまっている。国としてもWeb3.0の推進へ向けた環境整備は検討されており、他国に後れをとらない為には環境整備や人材の確保は非常に重要となってくる。環境整備の一環である税制面において今回の要望はどのように受け止められるのか、来年度の税制改正に注目したい。
<参照>
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会 「2023年度税制改正に関する要望書」