葬式にかかる費用
経済産業者がまとめた調査で、2021年の葬儀1件当たりの金額が112万5000円であることが分かった。また、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大が発生し、昨年比マイナス13%となっていたが、今年は更にそこから4%のマイナスとなった。
<変わるスタイル>
新型コロナ禍で、日常の生活スタイルはもちろんの事、結婚式や出産、学校行事などのイベント事で様々な変化が起こっている。
そしてそれは、別れの場面も例外ではない。
別れの形もそれぞれではあるが、例えば新型コロナウイルスの感染拡大が起こる前の2015年においては、通夜と葬儀・告別式を行い、知人や職場の関係者等多くの方が参列する「一般層」を行う割合が58.9%と最も多かった。
しかし、コロナ禍となり、通夜と葬儀・告別式を近親者のみで行う「家族葬」の割合が増えてきている。2020年時点では一般葬が48.9%と依然トップではあるものの、家族葬が40.9%とコロナ禍で急激に伸ばしてきている。
<葬儀別の費用>
一般葬を行った場合の平均費用は240万円程度である。これは葬儀費用以外にも飲食費用や香典返礼品なども含まれているため参列者が増えれば増えるほど、その費用は大きくなっていく(一方、参列者が少なくなることで香典総額も減少する)。
一方で、家族葬の場合の平均費用は137万円で、先述の通り、葬儀費用以外の面の費用も抑えられるのが特徴である。
また、上記以外にも通夜や告別式を行わない「直葬・火葬式」では平均費用約80万円と更に費用を抑えることが可能であり、コロナ禍でサービスが始まった「リモート葬儀」ではより費用削減ができる他、遠方で参列が難しかった人に対してもお別れの場を用意できるといったメリットもある。
<相続財産からの控除>
葬儀費用を相続人が負担する場合には、相続税を申告する際に一部控除ができるものがある。
(差し引けるもの)
・通夜、告別式の費用
・遺体の搬送費用
・火葬料、埋葬料
・お布施、読経料、戒名料
(差し引けないもの)
・香典返しにかかる費用
・四十九日法要の費用
・墓地、墓石費用
なお、香典として受け取る金額が社会通念と照らし合わせて妥当な範囲の場合には、受け取る際の贈与税や所得税は非課税とされる。
終活を行う人が増えてきているが、この「葬儀」の部分を考えている人はどれくらいいるだろうか。よく、「葬儀費用分だけでも残したい」と保険に加入することを検討する人がいる。勿論、その考えを否定するつもりはないが、どのくらい保険を掛ければよいかを知るためにも「葬儀代」については生前からしっかりと考えておく必要があるだろう。