リバースモーゲージは相続対策になり得るか

 

リバースモーゲージとは、自宅等の不動産を担保にお金の借入を行う金融商品の1つである。従来であれば老後の資金が不足した人は自宅を売却して老後資金を捻出していたが、長年住んだ家を売却することや、高齢であると新たな住まいを探すことが難しくなる。そこでこの商品は担保に入れることで売却をすることなく老後資金の確保を行うことができる。毎月の返済は利息のみで元本の支払いは発生しない。債務者が亡くなった際に担保に入れていた不動産を売却することで、売却資金を元本の返済に充当する。不動産を相続する際にどのように分割するかで揉めるケースは物凄く多い。確かにこのリバースモーゲージを利用するとそもそも死亡時に不動産が売却される為、揉める原因は無くなるかもしれない。更に、この商品を利用する条件として相続人の同意が必要である場合があり、争いが発生する場合は被相続人を交えての話し合いになり、亡くなってからの争いよりかは幾分ましにはなるのだろうか。

 

しかし注意点はいくつかある。

まず、先述の通り「債務者死亡時に担保物件を売却して借入元本返済に充てる」という点である。担保価値が下落した場合、売却額が借入額を下回り返済できないといったケースが想定される。そういった場合には相続人が返済の負担を背負わなければならない可能性も出てくる。ノンリコース型といった相続人に残債返済を請求しないようなタイプも存在するが、この点は注意が必要である。

また、その他にも相続を迎える前、つまり借入人が生存している間の注意点も知っておく必要がある。まず、一般的な住宅ローン商品と比較すると金利が高めに設定してある。本来、住宅ローン金利は基準金利から幾分かの優遇分を差し引いた分が金利として設定される。具体的な話はここでは割愛するが、リバースモーゲージの多くは差し引かれる優遇分が少なく設定されているため実際の金利は高めに設定される。利息分は毎月支払いが発生する為、注意が必要である。更に、長生きリスクもある意味では無視できないポイントだろう。借入から死亡までの期間が長くなるほど、必要資金が当然多くなる。一方で借入の原資となる不動産の価値は普通は期間が延びるともに低下していく。つまり、長生きするほど必要資金は多くなるのに対して、不動産価値は下がっていくという状況が発生する。

この他にも細かいポイントは幾つも存在するが、リバースモーゲージの利用にはそういった点をしっかりと理解しておく必要がある。