BaaSによるキャッシュレス化の加速
「Banking as a Service」通称BaaSとは、銀行の業務である預金・為替・融資をクラウド経由で提供することを指す。
DXの波は金融業界も当然に例外ではない。ネット銀行や「BaaS」での非金融企業の登場により金融の在り方が変わってきている。このような社会の波に銀行自体も飲み込まれつつある中で生き残りをかけた変革が問われている。その一つが以前ご紹介した「ことら送金」である。
<メリット>
① 利用者
BaaSにより利用者の利便性は格段に上がることが予想される。
例えば、ネットショップで商品を購入する際に代金の決済でコンビニでの振込を行わなければならないケースや外部サイトから支払い手続きを行う手間が発生する。しかしBaaSでショッピングサイト内に銀行機能が搭載されれば商品購入と代金の決済をまとめて行うことが可能となる。
② 事業会社
従来、銀行業務である「預金、為替、融資」はライセンスを持つ業者のみこれらの事業を行うことが可能であった。しかし、BaaSを利用することでライセンスを取得することなく自社サービス内に銀行業務機能を組み込むことが可能となる。これによって利用者の利便性や利用満足度の向上に繋がることが大きなメリットと言えるだろう。
<国内利用事例>
住信SBIネット銀行は2016年3月にAPIを公開して以来、様々な非金融企業と提携を進めサービスを拡大してきた。例えば日本航空と合弁会社を設立し多通貨プリペイドカード「JAL Global WALLET」を開発。更には外貨預金など銀行サービスを受けられる「JAL NEOBANK」も提供しており、航空会社による「旅行体験」と銀行による「資金管理・決済」を1つに掛け合わせたサービスの提供を実現している。
<国外利用事例>
米国大手企業WalmartはGreen Dot BankのBaaSを利用しプリペイドカードを発行。キャッシュバックや家計簿サービスを搭載し、買い物に新たな価値を提供することに成功している。
キャッシュレス社会の更なる発展にはBaaSは欠かせない存在だろう。
BaaS市場は今後2027年までに179億米ドル、54.2%の成長が予想されている。国がキャッシュレス決済を推進していることからもこの流れは避けられないだろう。