不動産売却時にかかる税金とは?譲渡所得税の基本と節税のポイント

不動産を売却すると、利益が出た場合に「譲渡所得税」という税金がかかります。これは売却価格から取得費や諸経費などを差し引いた「譲渡所得」に対して課される税金で、場合によっては高額になることもあります。本コラムでは、不動産売却時に必要な税金の知識と、節税につながる特例制度をわかりやすく解説します。
■ 譲渡所得とは?
譲渡所得=売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:購入代金、仲介手数料、リフォーム費用など
- 譲渡費用:売却時の仲介手数料、登記費用、測量費など
この譲渡所得がプラスであれば税金が発生し、赤字であれば課税されません。
■ 税率は「保有期間」によって異なる
売却した不動産の所有期間が5年超かどうかで、税率が大きく変わります。
所有期間 | 所得税・住民税 | 復興特別所得税 |
---|---|---|
5年超(長期譲渡) | 15%・5% | 0.315% |
5年以下(短期譲渡) | 30%・9% | 0.63% |
※長期譲渡の方が大幅に税率が低いため、売却のタイミングは非常に重要です。
■ 自宅を売る場合の「3,000万円特別控除」
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
適用条件:
- 現実に住んでいた期間がある
- 家族や親族などに売っていない
- 過去2年間、この特例を使っていない
この制度を使えば、多くのケースで譲渡所得がゼロになり、税金を払わずに済みます。
■ 他にもある節税特例
- 所有期間10年以上での軽減税率
→ 課税される譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に14%(所得税10%、住民税4%)の優遇税率が適用される。 - 買い換え特例
→ マイホームを売って、新たな自宅を買う場合は、税金の支払いを将来に繰り延べできる制度です。
■ 注意点とアドバイス
- 相続で取得した土地も対象:相続で得た土地でも、売却益が出れば税金はかかります。
- 取得費が不明な場合:売却価格の5%を取得費とみなす特例あり。ただし、実際の取得費が高ければ申告しておく方が有利。
- 確定申告が必要:売却の翌年に忘れずに確定申告を行いましょう。特例を受けるには適用要件を確認のうえ書類の添付も必要です。
■ まとめ:税金を抑えるには「事前の準備」と「正しい知識」がカギ
不動産売却にかかる税金は、所有期間や物件の用途、売却タイミングによって大きく変わります。特にマイホームに対しては控除や優遇税率が設けられており、活用すれば大幅な節税が可能です。売却を検討する際は、税理士や不動産の専門家に相談し、事前に対策を立てることをおすすめします。