法人税に関する昨今の話題

 

企業が生み出した利益に対しては「法人税」が課される。

法人税は、企業が1年間に生み出した利益から経費を差し引いた額を法人税率と掛け合わせることで算出される。この法人税については国内外で様々な話題がニュースとなっている。

 

世界的に見る法人税

 

グローバル化が進んでいる中で課題となっているのは、「共通のルール作り」である。

人の行き来は国境を越えているものの、「ルール」に関しては国境事に取り決められているものがほとんどであろう。それにより様々な問題が発生している。

 

法人税率の違い

 

① 日経新聞 「低税率のアイルランド、多国籍IT企業から歳入増」 2022.8.9

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0934N0Z00C22A8000000/

 

アイルランドは12.5%と低い法人税率であることから同国に拠点を置くグローバル企業が多く存在している。法人税率を下げることで企業の誘致に繋がり税収増加が見込まれる。

アイルランドは、税収の増加によってコロナ禍でも成長率を維持してきている。

 

<主要国の法人実効税率>

主要国の法人実効税率は以下となっている。

 

・フランス - 33.33%

・ドイツ  - 29.83%

・アメリカ - 27.98%

・カナダ  - 26.50%

・中国   - 25.00%

・イタリア - 24.00%

・イギリス - 19.00%

 


② 日経新聞 「最低税率、格差是正に寄与 法人課税、国際合意の意義」 2021.12.21

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1310W0T11C21A2000000/

 

2021年10月に130の国と地域が多国籍企業に対しての最低法人税率を15%とすることで合意した。

欧州連合タックスオブザーバトリーが発表した報告書によると最低法人税率15%とすることで見込まれる税収増は各国で以下となる。

 

・フランス - 39億ユーロ

・ドイツ  - 131億ユーロ

・アメリカ - 570億ユーロ

・カナダ  - 244億ユーロ

・イタリア - 31億ユーロ

・イギリス - 110億ユーロ

 

デジタル課税

 

③ 日経新聞 「デジタル課税とは 生産・販売拠点のない国にも徴税権」 2022.7.18

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1729P0X10C22A7000000/

 

もう1つ「デジタル課税」についても2021年10月に合意がなされている。

かつては企業と消費者は当然に同一国内に所在していたわけだが、今はその必要性はない。どこにいてもサービスにアクセスすることが可能な時代である。これにより上述の法人税率が低い国に拠点を置く企業が増えたのである。原則的に支店や工場などの拠点がない企業に対しては課税することができない。

そこで、拠点ばなくても消費者がいる国は一定の条件のもと課税が出来るルールが合意された。

 

日本国内の法人税率

 

④ 時事ドットコム 「防衛費財源に法人税 金融所得、たばこ増税も検討」 2022.9.17

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022091600981&g=pol

 

日本の法人税率は過去30年間減少傾向にある。

平成元年に40%だった基本税率はこれまでに7度引き下げが行われ、23.4%までに減少した。

しかし法人税率の引き上げに関する話題も散見されるようになってきている。

 

国債の発行によらない財源の確保へ向けて法人税率を引き上げるのか、それとも法人税率を引き下げ企業にとって魅力的な制度作りを行うのか、今後の行く末を占う分岐点にいるのかもしれない。

 

<参照>

ZUU online 「日本の法人税率の推移は? 海外との比較と今後の展望を解説」

 

https://zuuonline.com/archives/205690